ポスト・コロナ社会の訴訟パターンとして増加しているのが、妊娠・出産の差別や不利益取扱いを理由とするケースです。妊娠をしている従業員が、新型コロナの重症化リスクを懸念してリモート業務やFMLA(育児介護救護法)による就労保障休暇をリクエストするが、雇用主がこれを拒否。最終的に当該従業員は解雇となり、雇用主が合理的な便宜(Reasonable Accommodation)を図らなかったのは、マタハラに当たるとして訴えられているのが一般的なパターンとなります。
これらの訴訟では、必ずしも雇用主が差別行為をしているわけではありません。また、妊婦の仕事上のリクエストに雇用主がすべて応対しなければならないということはなく、雇用主に過剰な負担がかかる場合には、便宜を図る義務はありません。他方、ポスト・コロナ社会では、「できるだけ雇用主は従業員のリクエストに柔軟な姿勢で臨むべき」という風潮があるため、従業員に対する合理的便宜と、雇用主の過剰な負担のバランスが従業員よりになっている点に注意しなければなりません。
雇用主にとっては、勝てる訴訟でも、訴えられるということ事態が大きなロスとなります。訴訟パターンを知るとともに、妊娠をされている従業員とのコミュニケーションは、できるだけ書面に残すことが重要です。
ポスト・コロナ社会のマタハラについて、もっと知りたい方:
Fisher Philipsの記事
「Oh Baby! Pattern Of COVID-19 Pregnancy Discrimination Litigation Beginning To Grow」
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