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労働局:公正労働基準法(FLSA)とポスト・コロナに関するQ&Aのまとめ

Department of Labor(労働局)から、ポスト・コロナ社会で、Fair Labor Standards Act(公正労働基準法)に関して、雇用主や従業員からよくある質問や疑問に関するまとめが発表されました。

重要なポイントが書かれているので、以下に要約します。


  • Non-exempt従業員(時間外賃金の対象)については、時間給が基本となるので、実際の稼働時間のみに賃金の支払い義務が発生する。Exempt従業員(管理職など:時間外賃金の対象外)については、リモート勤務或いは事業がフル稼働でないとしても、働いている場合は、オファーレター等に定められる月額や週のサラリーを支払うことが基本となる。

  • 雇用主は、従業員に積極的にテレワークを勧めることが可能。ただし、差別的な理由でテレワークを強制することは禁止されている。

  • Non-exempt社員が、家からリモートで働く場合においても、時間給(当然、最低賃金以上)が基本となる。週に40時間以上働く場合は、時間外賃金として1.5倍の割増利率が発生する。Non-exempt社員がリモート勤務をする場合、雇用主は、勤務時間を正確に記録できるシステムを設定し、時間の管理をする。システムに記録されていない時間で、雇用主が従業員が働いていることを認識している時間については、記録されていない時間を追加して給与の算定を行う。システムに記録されてない労働時間を雇用主が認識していない場合は、その認識されていな時間に対する給与の支払い義務は発生しない。

  • リモート勤務にかかるビジネスの経費については、(1)それが雇用主に通常かかる経費である場合や、(2)経費を従業員が負担することで、当該従業員の最低賃金を下回ることや時間外賃金の収入を減らすことになる場合は、雇用主が積極的に負担する義務を負う。また、従業員のリモートが、当該従業員の障害やコロナ重症化リスクに対する合理的便宜(Reasonable Accommodation)である場合は、リモートにともなうビジネス経費を、当該従業員に負わせることは禁止されている。

  • 家からリモート勤務をする従業員の「安全確保、感染リスク予防」については、OSHA(労働安全衛生局)の管轄から外れる。OSHAのガイドラインは、ホームオフィスには適用されないので、ホームオフィスの安全性については、OSHAは雇用主の責任を追及しない。他方、事故や感染などが発生した場合は、それがホームオフィスであっても、雇用主には記録をする義務は発生する。

  • リモート勤務における仕事の実施時間については、できるだけ雇用主は柔軟に対応する。例として、ある従業員が朝7時から9時、11時半から午後3時、そして夕方7時から9時まで働くスケジュールであると、その間に子供のケアなどが可能となる。この場合、雇用主が支払う当該従業員の給与は、1日7.5時間となる(14時間ではない)。

  • Exempt社員が、FFCRA(家族第一・新型コロナウイルス対応法)における就労保障休暇(Job protected leave)をとったとしても、Exemptのステータスには影響はない。

  • ポスト・コロナの経済負担を軽減する為に、雇用主がExempt社員の給与を下げることは可能。その減給が、FLSAや州法で定められるExempt社員の週の最低給与を下回る場合は、当該従業員はExemptのステータスを失うことになる。

  • ポスト・コロナでは、「緊急事態」ということで、雇用主は、従業員にJob Description(職務内容)に書かれている事項以外の役割や責任を負わせることが可能。また、Exempt社員についても、Non-exempt社員の業務をさせたとしても、Exemptのステータスには影響しない。 ***このExempt社員にNon-exempt社員の業務をアサインできるという解釈は、とても重要です。平常時では、Exempt社員に雑用やNon-exempt社員の業務をさせると、Exemptステータスを失う可能性があり、その場合は時間外賃金が発生するリスクがあります。コロナによる「緊急事態」ということで、Exempt社員に通常任せられない業務をやらせることが可能となっています。

  • ポスト・コロナの中で事業再開し、従業員を工場やオフィスで働かせる場合においても、雇用主には「Hazard Pay(危険手当)」など特別手当を従業員に支払う義務はない。FLSAではHazard Payの義務はないが、州やローカル法では異なるルールが設定されている場合があるので注意する。

  • 派遣社員などを利用する場合、当該社員の給与については、「共同雇用主(Joint Employer)」の概念から、派遣先の企業が責任を負う可能性がある。 ***Joint Employerについては、現在注目されている話題となっています。DOLのガイドラインは以下です。https://www.dol.gov/agencies/whd/flsa/2020-joint-employment


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