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対談1:フェニックスバイオ森川良雄社長

更新日:2021年3月8日

アメリカでビジネス展開をしているPhoenixBio USA社社長の森川氏と対談をいたしました。PhoenixBio USAは高度生命科学で新時代を拓くことを経理理念にかかげていて、アメリカで10年以上ビジネスを展開している企業です。


★アメリカ進出して、一番うれしかったことは?

森川氏:小学3-4年生の時に父親の仕事でモントリオールに住んだ経験がありますが、その後帰国してからずっと北米に憧れがありました。今の仕事に就き、2006 年にアメリカに到着した時、2008 年にアメリカから陸路でカナダに入った時の感動をよく覚えています。


★アメリカだからできること、アメリカでしかできないことがあるとしたら、それは何ですか?

森川氏:商品・サービスがアメリカで認められると、日本の中だけで認められるより世界中で認めてもらえるようになるスピードが早いことが多いと思います。また、製薬業界は日本と比べてアメリカの方が圧倒的に市場が大きく、ユーザーのニーズも多様なので、スケールの大きなビジネスが出来ます。 アメリカの方が日本よりも情報量が多く多様だと思います。また、情報発信源も世界の様々なエリアからやってくるので、日本よりも世界を広く知ることができると思います。こう言ったところがアメリカだから出来ることだと思います。


★アメリカビジネスの難しさ、面白さ、すごいさ、ワクワクすることは?

森川氏:米国は人種的に優位になるグループがあり、アジア人はマイノリティとなるため社会の隙間を埋めるような形で存在しているように感じることがあります。日本人である私は "Made in Japan" のブランド性があることから、仕事の上で他のアジア人と比べて幾分有利な立場にあるとは思いますが、私が仕事をしている業界は白人を中心とした業界ですので、しばしば顧客と当社の関係が対等でないと感じることがどうしてもあります。こういった点が、アメリカビジネスの難しい点だと思います。

また、日本生まれ日本育ちの私にとって、米国と日本間における文化の違いからくる習慣・好み・思考などの違いを埋めることは難しいですが、違うことを自覚して行動すれば、アメリカはこういった違いをある程度受け入れて、また、文化の違いがうまく使える土壌があると思います。こういった点は、アメリカビジネスの面白ところだと思います。

★仕事をする上で、大切にしていることは?

森川氏:1) 素直になること、正直であること。 私は常に素直でも真っ正直な人間という訳ではありませんが、交渉が決裂した時、部下や本社経営陣と意見が合わない時、何か問題に直面した時は、まず、素直になって正直に対処することを心がけています。2) 直感を信じること。3) 答えが出ない時は難しく考えないこと。


★大切な言葉、感銘を受けた言葉などはありますか?または好きな本などがあれば教えてください。

森川氏:私が 27 歳の時に初めて就職した時、当時住んでいた広島から神戸に移り住むことになりました。就職する前は地元で音楽活動をしていましたが、当時、父親の体調が悪く、就職することにより収入と生活が安定する一方で両親の近くから離れることが心配でしたので、このまま音楽活動を続けて地元に留まるか、両親から離れた神戸に移り住むか迷いました。このことを父親に相談したところ、父親は神戸で就職することを助言してくれました (今思えば当然ですが)。その時の言葉や考えに感銘を受けました。

★今回のコロナ危機をどのように捉えていますか?

森川氏:[仕事について] コロナは確かに感染性も高く死者も出るので危険ですが、オフィスを再開したこの 2 ヶ月、私は実際の病状や死亡リスク以上に人々の不安感を煽る精神的なリスクが大きいと感じております。また、皆自分の身を守るように心がけますので、これまで以上に仕事が社員の生活様式の影響を受けるようになりました。この状況は数年規模で長く続くのではないかと思いますので、新しい仕事の形を作っていく機会なのだと考えております。

★このような厳しい環境だからこそ、チャレンジしたいことや、やってみたいことはありますか?(ビジネス面)

森川氏:前出の質問への回答と重複しますが、今の状況を「新しい世の中の始まりにいる」と捉え、新しい仕事の形を作っていきたいと考えております。

★最近はまっていること、今年やってみたいことはありますか?

森川氏:Home Aquarium にハマっております (笑) 今から30 年近く前にもハマっていた時期がありますが、昔と違って魚や水草を上手く育てるための様々な便利なツールが市場に出回っており、また、様々な方法が編み出されており、最近始めてみて驚きました。

また、日本、米国、欧州では良い aquarium を作るための考え方、方法が異なるため使う道具も異なります。今回、色々情報を調べた結果、水質の維持により高度な方法を取り入れている日本式の方法を中心にしながらHome Aquarium を立ち上げようと思いましたが、実際にやり始めてみるとアメリカではアメリカ式の方が理に適う部分も多く面白いと思いました。

私がやっている仕事では米国でも日本でも医薬開発の研究者が顧客であり基本的な顧客へのサービス内容や商品は同じで良いと思っておりましたが、 Home Aquarium を通して何故米国では日本式よりアメリカ式の方法の方が向いているかという点などを考えると、実は米国と日本の顧客でニーズが少し違うことに気付いていないかも知れないと思いました。仕事ではこういったところをもっと理解していきたいと思いました。


<内藤のコメント>

森川さん、ありがとうございました!幼少期からの森川さんのアメリカに対する強い想いを感じました。ビジネスのスケールが桁違いのアメリカでワクワクしながらも、特定の人種優位な業界の中で、試行錯誤しながら戦ってきた様子には、感銘を受けました。私のいる弁護士業界も、アジア人は圧倒的なマイノリティなので、難しさを感じることがあります。

コロナの恐ろしさは、その感染性や致死率だけでなく、このウイルスが人々に与える「恐怖心」である。同感です。今、私たちが戦っているのは、先が見えないという「恐怖心や不安」なのかもしれません。素直に、正直に、直感を信じ、答えが出ない時は深く考えない。今の状況を「新しい時代のはじまり」ととらえ、新しいビジネスを生み出そうとしている森川さんの姿に、常に新しい環境で戦ってきた森川さんの人となりを感じずにはいられません。

最近はまっているというHome Aquarium(観賞魚の飼育)。そこに生態系を観察したり、さらには日米の顧客のニーズにまで発想がいたるとは、さすが科学者!と感心しました。

森川さんを、そしてフェニックスバイオの今後を、心より応援いたします!

今後も、アメリカで活躍する企業の方々との対談をしていきます!




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