2021年、FFCRAの解説パート2(3月30日修正)

更新日:3月30日

以下、パート1の続きです。


質問4:FFCRAが終了してしまったわけですが、今後も新型コロナウイルスの影響によって従業員が仕事をすることができない状況が発生する可能性があります。その場合、雇用主はどうしたらいいのでしょうか?どのようなことを知っておくべきでしょうか?


答え:従業員が仕事をすることができない理由、またはそのシナリオによって、雇用主の対応のパターンは変わります。一番考えられるのは、従業員が濃厚接触者となってしまったケースです。PCR検査の結果が陽性で、濃厚接触が仕事をしている時に発生している場合は、その従業員は労災の対象となる可能性があります。他方、労災については、仕事において感染が発生した・してないを特定するのが難しいという問題があります。また、労災は一般的に仕事中の怪我などに対応しているもので、風邪などには使えないという問題があります。そういう意味で、労災を新型コロナウイルスに使えない州や、そういったケースがあることに注意してください。


労災が使えない場合はどうなるのでしょう?例えば、検査の結果が陰性だった場合や、濃厚接触が仕事外で発生した場合(例:歯医者など)は、労災は使えないことになります。まず、雇用主にPaid Leave補償を義務付ける法律は、FFCRAだけではありません。州法、市や郡のローカル法などによってもCOVID-19によって仕事ができない従業員に雇用主がPaid Leaveを支払う義務が設定されていますので、このようなローカル規定があるかを雇用主は確認します。ローカル法によるPaid Leave補償がない場合は、障害者保険の対象となるかを確認することになります。多くの州では新型コロナウイルスに感染することは障害者とみなされることになり、その場合は障害者保険の対象となります。このように、FFCRAがなくなったことにより、新型コロナウイルスによって働くことができない従業員の給与補償については、皆さんがビジネスをする場所でどのような法律があるのかを再度確認しておくことが重要となります。


次に、従業員の家族をケアするために仕事ができなくなったケースを見ていきましょう。50人以上の従業員を有する雇用主は、FMLA(家族・医療休暇法)に従ってお休みを付与する義務があります。また、ニューヨーク州のように、家族をケアするための給与補償保険が州によっては設定されていることがあります。

FMLAまたは州法によるPaid Family Leave(家族ケア)と、FFCRAとの大きな違いは、雇用主が給与補償する義務がない点です。FMLAは、無給で年間12週間のお休みをあげなさいという法律となります。Paid Family Leaveについては、従業員の給与の天引きやプールから成り立つ保険となっているので、こちらも雇用主に支払う義務が発生しないことになります。


**ニューヨーク州において、雇用主は、従業員のワクチン接種について(1回の接種につき)最長4時間までのPaid Leave補償をすることを義務付けられています。このPaid Leaveより前に、会社で付与する有給休暇や州によって定められる傷病休暇を強制的に消化させる事は禁止されています。


質問5:2020年に義務付けられていたFFCRAのPaid Leave補償を雇用主がしていなかった場合、どうなるのでしょう?支払いはしていなくても、FFCRAの期限が切れたので問題ないのでしょうか?


答え:問題あり。FFCRAの補償期間は終了していますが、従業員が補償されていないPaid Leaveの支払いを雇用主に請求することは、(従業員が請求をし雇用主が支払いをしなかった時から)2年間の時効があります。また、この時効は雇用主の意図的な違反行為に対しては3年となるので注意が必要です。


意図的にFFCRAを利用させない、という雇用主はいないと思います。起こりうるリスクとしては、FFCRAのPaid Leave補償の対象であった従業員に対して、会社で付与している有給休暇(PTO)や州のSick Leaveを先に消化することを強制させてしまったパターンです。他の補償を消化させてFFCRAの権利を使わせない、というのはFFCRAのルール違反となります。それと、FFCRAの権利を利用する従業員に対して、報復行為を行うことは禁止されているので注意してください。


質問6:2021年においても、雇用主はFFCRAのPaid Leave補償を自主的に行うべきでしょうか?


答え:継続する・しないを判断する上では、自主的に継続することでのポジティブな点とネガティブな点を整理しておくことになります。


ポジティブな点について:

2020年に未使用のPaid Leaveがある従業員については、雇用主にFFCRAを継続して欲しいというニーズがあります。FFCRAを継続してあげることは、安心して働くことのできる職場環境づくりの一環となります。また、FFCRAを利用できることで、過密を避け間接的な感染予防となることも考えられます。


ネガティブな点について:

今後のワクチンの効果や、新型コロナウイルスの感染状況にもよりますが、バイデン大統領がFFCRAの給与補償を復活させる可能性はゼロではありません。そうなると、自主的に継続していた期間と、復活した後の対応とで整合性の問題が発生するリスクが挙げられます。

例えば、バイデン大統領はFFCRAの復活を考えていて、以下の内容を盛り込むことを検討していました。FFCRAの補償内容を大きく拡張する予定だったのが分かります。

  • FFCRAは500人未満の従業員を持つ雇用主のみを対象としていたが、ARPでは500人以上の従業員を保有する企業にもこの補償義務を課す。

  • FFCRAのEFMLは最長12週間の補償となっていましたが、ARPではこれを14週間まで延長する。また、この時の補償金額のCAPも週$1400まで引き上げる。

  • FFCRA除外対象を変更。従業員数50人未満の企業でFFCRAに従うことでビジネスの継続が困難となる状況については、同法の規定に従うことから免除されていたが、この規定を撤廃する。

また、自主的に補償する場合、FFCRAのような法律に強制される基準とは異なり、補償する・しないの判断は雇用主の決定事項とされます。よって、その判断に客観性が欠ける、或いは不公平などが生じる場合は、差別的インパクトの問題が発生することに注意していく必要があります。


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