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2021年 FFCRAの解説 パート1(3月30日修正)

更新日:2021年3月30日

3月3日、HLS様とPOSI様が企画されましたWebinarにて「2021年におけるFFCRAの動向と留意点」というトピックについてお話しする機会をいただきました。


FFCRA(家族第一・新型コロナウイルス対応法)は、新型コロナウイルスの影響によってリモート含め働けなくなった従業員に対して、給与補償(Paid Leave)するとを雇用主に義務付けた法律となります。このPaid Leaveには、EPSLとEFMLという二種類があります。EPSLとEFMLの要件と効果の概要は、以下の添付にまとめていますので参考にして下さい。そして、雇用主が補償したPaid Leaveについては、Tax Credit(税額控除)が受けられるというのがFFCRAの基本的な仕組みとなっています。

FFCRA配布資料のコピー
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質問1:FFCRAにおけるPaid Leave補償は、2020年4月1日から12月31日までとされていたわけですが、2021年度もこの雇用主の義務は延長されたのでしょうか?


答え:2021年、雇用主がFFCRAをどのように取り扱うかについては、昨年の12月27日、まだトランプ政権だった時に施行されたConsolidated Appropriations Act(CAA)という法律を確認する必要があります。このCAAによって、FFCRAの2つのPaid Leaveは、もともとあった期限通り12月31日で終了となっています。よって、2020年にFFCRAによって義務付けられていた雇用主のPaid Leaveの支払いは、2021年には法的に強制はされないことになります。


ただし、FFCRAのPaid Leaveを雇用主が自主的に従業員に付与し続けることは可能となっていて、その場合、雇用主が補償したPaid Leaveは、CAAによって2021年3月31日までTax Creditが受けられることになります。

**バイデン大統領のAmerican Rescue Plan(ARP)によって、Tax Creditの期間が2021年9月30日まで延期されました。


またFFCRAは、連邦政府からポスターが出されていて従業員にどのような権利があるのかを雇用主は通知する義務が課されていました。FFCRAのPaid Leaveを続ける・続けないを雇用主は決定することができますが、どちらにおいても、雇用主がFFCRAを2021年にどのように扱うかは従業員に知らせることがベストプラクティスとなります。


質問2:従業員から、「2020年のPaid Leaveには未使用分があるので、残っているPaid Leaveを使わせて欲しい」という要求があった場合、雇用主には補償義務があるのか?


答え:FFCRAのPaid Leaveは自動的に付与されるのではなく、添付した表にあるア〜カに定める対象者のみ取得できる給与補償となります。それと、FFCRAには「未使用分は翌年に持ち越せる」というロールオーバー規定がもともと設定されていません。そして今回のCAAによって、FFCRAのPaid Leave補償は2020年12月31日に終了することになったので、このような要求が従業員からあったとしても、雇用主にはPaid Leaveを支払う義務は2021年にはないことになります。

**バイデン大統領のARPによって、Paid Leave補償の条件に追加がありました。①ワクチン接種を従業員がする、②ワクチン接種により体調を崩し、そこから回復する、③PCR検査や抗原検査を受ける、という3つの理由によるPaid Leaveの取得を追加しています。


質問3:2021年において雇用主が自主的にFFCRAを継続する場合、従業員に支払ったPaid Leaveについては、昨年同様、Tax Creditを受けることができるのか?


答え:CAAにより、強制的に給与補償する雇用主の義務は終了しましたが、雇用主が自主的にFFCRAのPaid Leave補償を継続することは認められています。そして、CAAでは雇用主が補償したPaid Leaveについては、2021年3月31日まで。バイデン大統領のARPによってTax Creditが受けられるよう期限が2021年9月30日まで延長されています。


ただし、注意点としてCAAやARPには、FFCRAのPaid Leave補償を拡張する目的はありません。たとえば、FFCRAのEPSLは最大80時間、そしてEFMLは最長12週間というPaid Leaveの上限が設定されているのですが、この補償を上乗せしていいですよ、とはなっていないことになります。すべてのPaid Leaveを使ってしまった従業員に追加してPaid Leaveを付与した場合、雇用主は、その超過分のTax Creditは受けられないので注意してください。

**バイデン大統領のARPによって、上記の上乗せ部分の変更がありました。2021年4月1日から、10日分の有給傷病休暇がリセットされる事になります。ですので、4月1日以降に雇用主は10日の上乗せが可能となり、自主的に付与したPaid LeaveについてはTax Creditを受けることができます(このPaid Leaveの付与は強制義務ではなく、あくまで自主的なものである事)。


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