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第5回 
【6分で解説】リーガルセンスのあるリーダーの意思決定プロセス:
リーガルセンスシリーズ⑤

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リーガルセンスとは、「法律の問題にピントくる力」。ESG(環境、社会、ガバナンス)訴訟などが増えている近年においては、企業の幹部やリーダーは法律だけではなく、Ethics(倫理)についてもピンとくる力が求められます。

 

現代のアメリカにおいて、有効な予防法務を構築する上では、Ethicalリーダー(倫理的リーダー)の存在が欠かせなくなっているのです。

今回の動画では、リーガルセンスのあるリーダーが行う意思決定のプロセスはどういったものかを見ていきます。

リーガルセンスシリーズ
第5回:リーガルセンスのあるリーダーの意思決定プロセス

どうも、アメリカ弁護士の内藤です。よろしくお願いします。

リーガルセンスシリーズの5回目です。これまでリーガルセンスシリーズの動画では、アメリカで訴訟を回避するため、企業の幹部やリーダーが積極的に「リスク・リワード分析」をすることが重要、というお話をしてきました。本日は、実際にリスク・リワード分析をどのようにすべきかを解説をしていきます。

 

リーガルセンスとは、「法律の問題にピントくる力」ですが、ESG(環境、社会、ガバナンス)に関する訴訟などが増えている近年においては、企業の幹部やリーダーは法律だけではなく、Ethics(倫理)についてもピンとくる力が求められます。

*Ethicsの重要性については、【7分で解説】リーダーの決断と法律の関係性:リーガルセンスシリーズ③リーダーの決断と法律の関係性」の動画を参考にして下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=r2J-eknUdow

 

現代のアメリカにおいて、有効な予防法務を構築する上では、Ethicalリーダー(倫理的リーダー)の存在が欠かせなくなっているのです。

 

では、リーガルセンスのあるリーダーが行う意思決定のプロセスはどういったものなのでしょう。

 

ビジネスアクションを起こす前に、第一段階として確認するのは、その行動が「Clearly illegal(明らかに違法)」であるかどうかです。

答えがYESの場合、当然のそのアクションは「避けるべき」です。

ちなみに、この段階でYES/NOを判断する上では、そのビジネスの周りにどんな法律があるかを知っておく必要があります。

*会社を取り巻く法律については、【9分で解説】会社の法律4つのカテゴリー:リーガルセンスシリーズ④の動画を参考にして下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=V6rhxb2iBi0

 

第一段階の答えがNoの場合は、ビジネスアクションが「Clearly legal(明らかに合法)」かを検討する。これが第二段階です。

ここでアメリカでビジネスをする難しさに直面することになります。アメリカが訴訟大国となる理由の一つとして、法律の「グレーエリア」が多いことが挙げられます。

アメリカはコモンロー(判例法主義)中心の法体系。裁判所の判決が重要な法源となっていて、過去の判例を比較しながら法律を解釈します。

 

*アメリカの法源については、『アメリカの法源』:アメリカ法律力 第2回の動画を参考にして下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=4LG9MiDUu9A

 

しかし、アメリカの民事訴訟は90%以上が和解で決着しています。つまり、皆さんのビジネスアクションが合法かを検討するうえで、参考となるケースが存在しない可能性があるのです。そうなると、「本当に合法なの?違法ったらどうしよう?」と心配になりますよね。これが、グレーエリアです。

*アメリカの訴訟については、『訴訟大国アメリカ(前編・後編)』:アメリカ法律力 第3回の動画を参考にして下さい。

前編:https://www.youtube.com/watch?v=BLNVPDxBsOQ&t=6s

後編:https://www.youtube.com/watch?v=ELNLeLPOp7U

第二段階で、「Clearly legal(明らかに合法)」または「グレーエリア」かを検討しますが、実は次の第三段階では、「Clearly legal」または「グレーエリア」のどちらであっても、リーダーの皆さんは同じこと検討・確認をすることになります。それは、「そのアクションがEthicalか否か」です。

 

まず、「グレーエリア」の場合は法律的に問題あるかないかが定かではないため、そのビジネス行為を「止める」と言うのも1つの選択肢です。しかし、ビジネスの機会を失わないために、そのグレーエリアにあるアクションをする必要がある場合は、後々に違法と判断されてしまった場合の損害を最小化するため、そのアクションがEthical(倫理的)であることを確認しておく必要があります。そして、Ethicalなら「慎重に実行」していく。もしUnethical(倫理的でない)なら、法律的にはグレーエリアではあるものの、「Ethicalと言えない行為は避けるべき」、と判断します。

 

そのビジネスアクションが「Clearly legal(明らかに合法)」の場合でも、「法律的にOKだから実行してもいいでしょ」、とならないのが現代の予防法務。企業リーダーに求められる危機感覚です。

ビジネスアクションが「Clearly legal」で法律的に問題でないとしても、皆さんの検討事項はそこで思考停止してはいけません。

そのアクションはEthical的に問題がないかを検討しなければならないのです。

そして法律、Ethicsの両方で問題がなければ、そのアクションは実行すべきとなります。逆に、法律的には問題がないけどunethicalな(倫理的に問題がない)アクションであった場合は、どのような影響があるかを中長期的に考えて、インフォームドディシジョンをする必要があります。

 

いかがだったでしょうか?

今日は訴訟を避けるため、現代のリーダーに求められる意思決定のプロセスについてみてきました。アメリカでビジネスをする企業幹部やリーダーの皆さんは、法律的に今なにができるか、「What it(企業)can do」の検討だけでは不十分で、Ethical的に、そして社会に対して何をすべきか「What it (企業)should do」を考えることが求められているのだ、と言うことを覚えておいてください。

この社会の期待に反すると、企業に対する否定的な評価が広がるリスクがあるだけではなく、近年におけるESGなどの訴訟に巻き込まれることにもなっていきます。

 

本日の動画が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

 

関連動画もぜひ、ご覧ください。

では、今日はこの辺で。ご視聴ありがとうございました。

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