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法律英語 第1回
 

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アメリカでビジネスをする経営者がリーガルセンスを磨くために知っておきたい「法律英語シリーズ」をこの度、開始します! 第1回はBurden of proofという法律英語を含め、3つ問題を出す形で、アメリカの法律制度を説明しながら、解説をしています。

​法律英語 第1回
Burden of proof
Beyond reasonable doubt
Preponderance of evidence

ALL OK PROJECT。どうも、アメリカ弁護士の内藤です。

アメリカでビジネスをする経営者がリーガルセンスを磨くために知っておきたい「法律英語シリーズ」をこの度、開始します。


 

では、第1回目、さっそく始めたいと思います。

Burden of proofという法律英語を聞いたことがあるでしょうか。

これは、どういう意味でしょう。以下の1番〜3番の中から答えを選んでみてください。

 

1.証人尋問

2.立証責任

3.天井の高さ

 

答えは2番の立証責任です。

 

それぞれの単語の意味をまずみてみましょう。

Burden:義務、負担、責任

Proof:証拠、証明

という意味があり、Burden of proofで、立証責任、となります。

 

立証責任(Burden of Proof)とは、アメリカの裁判において、証明する事実に関して十分な証拠を提示し、陪審員や裁判官を説得する義務を指します。

 

そして刑事訴訟においては、このBurden of Proofは検察にあって、被告人が有罪であることを証明する義務を負います。他方、民事訴訟では、権利主張をしている、または被った損害の回復を目指す原告にBurden of Proofがあります。

 

次に問題にいく前に「証明度」という言葉があります。

 

これは、争いのある事実の存在について、どの程度の証明がなされれば陪審員や裁判官がその心証形成により事実認定するかの基準です。

 

ではアメリカの刑事訴訟において、被告人が有罪であることを証明するためには、検察側の証明度を示すときに使う英語のフレーズを、以下の1番〜3番の中から答えを選んでみましょう。

 

1.Degree of proof

2.Too good to be true

3.Beyond Reasonable Doubt

 

答えは3番のBeyond Reasonable Doubtです。

 

では、それぞれの単語の解説です

 

Beyond:~の向こう、~を超えて

Reasonable:合理的な、妥当な

Doubt:疑い、疑念、疑惑

となります。

 

Beyond reasonable doubtは、「合理的な疑いを超える」という意味となります。

 

アメリカの刑法においては、被告人は推定無罪(Presumption of innocence)の権利が与えられています。ですので、被告人が刑事訴訟の中で無罪を証明する必要はありません。検察がBeyond Reasonable Doubt(合理的な疑問を超える)程度で有罪を証明する必要がある。有罪を証明できなければ、被告人は無罪とされます。

 

では、民事訴訟における証明度、民事訴訟においてはどれぐらいの程度で証明をするのか、というのを示すときに使う英語を、以下の1番〜3番の中から選びましょう。

 

1.Competency of evidence

2.Declaration of intention

3.Preponderance of evidence

 

答えは3番のPreponderance of evidenceとなります。

 

それぞれの単語の意味は、以下となります。

 

Preponderance:優勢、優位

Evidence:証拠、裏付け

Preponderance of evidence=証拠の優越

 

民事訴訟における証明度の基準は、Preponderance of evidence(証拠の優越)となっていて、原告の証拠が被告の証拠よりも優れていれば、その訴訟において原告が勝訴し請求が認められる事になります。

 

本日の動画で最後の問題となります。

 

今、刑事・民事訴訟では、証明度の基準が異なるという事をみてきました。では、刑事と民事の証明度の程度を%で示すとすると、以下の1番〜3番ではもっとも正しいのはどれでしょうか。

 

1.刑事90%以上、民事50%以上

2.刑事50%以上、民事50%以上

3.刑事75%以上、民事65%以上

 

答えは1番、刑事訴訟では90%以上、民事51%以上です。

 

民事訴訟の証明度(Preponderance of evidence)は、「More likely than not(起こり得る可能性の方が高い)」とも表現され、原告の証拠の重みが、被告の証拠よりも優位であれば十分としています。要するに51%以上の程度で証明できれば良いのです。対して、刑事訴訟では疑いの余地がない程に証明がされている必要があり、その証明度は90〜95%以上と言われ、民事訴訟よりもかなりハードルの高いものとなっています。

 

この刑事と民事訴訟の証明度の差を説明する事件としては、「世紀の裁判」とも呼ばれている、元フットボール選手O.J.シンプソンの裁判が良い例としてあげられます。

O.J.シンプソンは、元の奥さんとその友人の殺害容疑がかけられた刑事事件では無罪となっていますが、民事訴訟では、殺人を認定する判決が出されて遺族に対する損害賠償をする事になっています。このように刑事と民事において裁判の結果が変わった理由として証明度の違いがあります。

 

本日は、Burden of proof、 Beyond reasonable doubt、そしてPreponderance of evidenceについて、お話しました。

こうした法律英語を学んで、法律にピンとくる力、皆さんと一緒にリーガルセンスを磨いていきたいと思います。

 

では、今日はこの辺で。ありがとうございました!

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