
US LEGAL AID FOR LEADERS
『アメリカ法おススメMovie』英語フレーズ①:
12 Angry Men
アメリカ法おススメMovie第1回でご紹介した12 Angry Menの解説動画をご覧いただいた方、ありがとうございます。本日は、法律的なお話ではなく、この映画で私が使えるな、と感じた英語のフレーズをご紹介したいと思います。
注目したいのは、2つのフレーズです。
-
一つ目が、sit well with というフレーズ。
-
もう1つは、room for、です。
Sit well withというフレーズは、この映画の主役である陪審員8番のセリフからです。陪審員8番が、裁判の証人である老人の証言に疑問を感じます。この老人の証人は足が不自由なのですが、それにもかかわらず、15秒という短い時間の間に、ベッドルームからアパートの外の廊下まで歩いて行き、殺人の容疑がかけられている被告が階段を降りていくのを目撃した、と証言します。
そこで、実際にこの証言が可能なのかを検証すべきだと陪審員8番は主張します。それに対して、他の陪審員がそんな必要はない、だって被告の弁護士だって、そんなことを問題にしていなかったじゃないか!と言います。ちょっと前説明が長くなりましたが、他の陪審員が証言の検証に反対する中で、陪審員8番の反論のセリフの中で、sit well withというフレーズがこんな感じで使われています。
It’s possible that he didn’t bring it up because it would have meant badgering and bullying a helpless old man, something that I don’t think sit very well with a jury. Most lawyers avoid that kind of thing if they can.
無力な老人をいじめて、困らせることを意味しただろうから、弁護士は、あえてこの問題を取り上げなかったのだろう。それをしたら(無力な老人をいじめる印象を与えたら)、陪審員の心証を悪くする。だから、たいていの弁護士はそれを避けるはずだ。
注目したいのは、この中の
something that I don’t think sit very well with a jury.です
Sit well withは、
~に納得できる、同意できる、腑に落ちる、という意味。
その否定形(I don’t think….)なので、納得できない、同意できない、腑に落ちないという意味があります。
もうちょっとくだけた言い方をすると、「どうもピンとこない」「しっくりこない」「印象がよくない」という感じです。
ここでは、証人をいじめる印象を与え、陪審員の心証を悪くする、という意味となっています。
私がこのsit well withに注目したのは、このフレーズは交渉の場面などで使える言葉だなと感じたからです。
たとえば、あからさまに、相手の意見に疑問を呈しては、うまくいく交渉もうまくいかないことがあります。
「その意見には反対だ」「理解できない」などとストレートにいうと、相手も強い反論をしてくるかもしれません。否定されてヘソを曲げる交渉相手もいます。
そんなときに、使えるのがこのsit well withの否定形です。
Your plan A does not sit well with us, because...
そのプランAですが、こちらはどうもしっくりこないんですよ。なぜなら・・・
この言い方をすると、なんとなく好戦的な感じではなくなりますよね。少しオブラートに包んだ、柔らかく相手を否定する感じで、日本人の性格には良い表現なのではないかと思います。私も交渉の場で、このフレーズはぜひ使いたいです。
今日ご紹介したい2つ目のフレーズは、room forです。
このフレーズは、陪審員たちが協議室で言い争いをしている中、ある陪審員が言うセリフに出てきます。そのフレーズは、こんな感じ。
You still don’t think there’s any room for reasonable doubt?
まだ「合理的な疑い」の余地があると思っていないのか?
Roomには部屋という言う意味意外に、スペース、余地、場所という意味があります。
例:おなかいっぱい。でも、デザートは別腹だよね!
I’m full. I can’t eat anymore, but there is room for dessert!
という表現は日常的にけっこう使っていますよね。
映画のこの場面では
You still don’t think there’s any room for reasonable doubt?
と否定形を使って言っています。
ちなみに、Reasonable doubtについては、前回の動画で解説していますので、ぜひ、ご覧ください。
このroom forはという表現も、交渉の場でも使えるフレーズ。
最近では、議論・交渉する中で、相手を言い負かすこと、論破すること、そしてそういった交渉の強さを無双などといい、たたえることがありますが、交渉の場ではどちらかというと、お互いが納得する解決策を探る姿勢が求められます。交渉は共同作業であるということを意識するのが、私は大事だと思っています。
そんなことから、このroom forよのうに、相手の共感を生む英語表現は、知っておいたほうがいいです。一方的にこちらの意見を伝えるコミュニケーションのみの表現を使っていると、意図していないところで交渉が感情的にもヒートアップしてしまうかもしれません。
それを避けるためにも、相手との間に一息入れるニュアンスで、このroom forという表現はは弁護士もよく使うフレーズです。
たとえば、room for negotiation(交渉の余地がある)、または
やroom for resolution(目の前にある問題に対して解決の余地がある)といった感じです。
Room for は簡単な英語ですが、実際に日本人の方が使っている頻度はあまり高くない気がします。
交渉や難しい会話をしていて、息詰まったり、何を言っていいかわからないとき、またはあえての歩み寄りを求めたいとき、そんなときroom for は結構使える表現なので、ぜひ、みなさんも使ってみてください。
いかがだったでしょうか。映画を見るだけでも、こうした使えるフレーズはたくさんあることに気が付くと思います。
自分は、長い間アメリカでビジネスをしていますが、なかなか英語の発音というのはうまくなりません。そんな典型的なジャパニーズイングリッシュなのですが、今日ご紹介したようなフレーズを活用できると、スマートでテンポのいい会話というのが、ビジネスの場面では特にできると思っています。そしてこういうフレーズを使いこなせていくと、英語を話すことが楽しくなったり、自信がつくようになります。
ということで、今後もアメリカ法おススメMovieでは、映画や法律のコンセプトを紹介すするととももに、その映画のなかで、これは使えるぞ、と思える英語フレーズもあわせて紹介したいと思います!
関連動画もぜひご覧ください。
ご視聴、ありがとうございました。