企業の「利益5%」を守り抜くために今、内部通報(ホットライン)が「不可欠」な3つの理由
- hnaito9
- 2025年12月24日
- 読了時間: 4分

うちの会社に限って、不正なんて起きるはずがない」 そう信じたい気持ちは分かりますが、現実は甘くありません。
最新のレポート『Occupational Fraud 2024: A Report to the Nations』によると、驚くべき実態が明らかになっています。https://www.acfe.com/-/media/files/acfe/pdfs/rttn/2024/2024-report-to-the-nations.pdf
なんと、企業の年間収益の約5%が、資産の横領(Asset Misappropriation)などの社内不正によって失われているというのです。さらに恐ろしいのは、その不正が発覚するまでに12ヶ月以上もの歳月を要しているという事実です。
特にアメリカなど海外展開を行う日本企業にとって、この「12ヶ月の空白」は致命傷になりかねません。そこで、なぜ今、ホットライン(内部通報制度)が「あれば良いもの」から「なくてはならないもの」へと変わったのか。その3つの理由を解説します。
1. 監査を凌駕する「発見力」:43%の圧倒的な威力
社内不正を発見する手段として、ホットラインは他のどんな手法よりも強力です。
同レポートによると、不正発覚のきっかけの43%が、ホットラインなどによる「TIP(情報提供)」でした。第2位の内部監査(14%)や、第3位のマネジメントレビュー(13%)と比較しても、その効果は約3倍に達します。
どんなに厳格な監査体制を敷いても、ホットラインがなければ、不正の4割以上を見逃すリスクを抱え続けることになるのです。
2. 「現場の声」を吸い上げ、強力な抑止力を生む
同レポートによれば、不正に関する情報の52%以上は、現場の従業員からもたらされます。
現場で働く従業員は、誰よりも早く異変に気づきます。ホットラインを設置・導入することは、こうした「現場のリアルな声」を吸い上げるためのパイプラインを構築することを意味します。
また、ホットラインの存在そのものが、不正を企てる者への心理的なプレッシャー、つまり「抑止力」として機能します。「誰かに見られている」「通報されるかもしれない」という環境こそが、魔が差す瞬間を防ぐ最大の防御壁となるのです。
3. 「自浄作用」を高め、ダメージを最小化する
「ホットラインを作ると、クレームが増えて対応が大変になる」という懸念を耳にすることがあります。しかし、これはむしろ逆転の発想が必要です。
社内でクレームや報告が上がるということは、「組織の悪い膿(うみ)」を外部に漏れる前に出せているということです。もし社内に受け皿がなければ、従業員はSNSや現地の当局へ告発するしかなくなり、巨額の賠償金やブランド失墜を招きます。
従業員の52%以上が不正のTIPを提供しているというデータがある以上、その声を拾わない手はありません。「 whistle(笛)が多く吹かれるほど、後々の巨額支払いや罰金のリスクは下がる」。これこそが、ホットラインがもたらす最大の利益です。
特に今、多くの日本企業が直面しているのが、ビザ発給の厳格化やコスト増から「駐在員を送りたくても送れない」という現実だと思います。日本から目を光らせる「遠隔オペレーション」を余儀なくされています。
ただでさえ発覚まで12ヶ月かかる不正が、物理的な距離がある環境で、かつホットラインもない状態で放置されたらどうなるでしょうか。ホットラインは、駐在員の「目」の代わりとなり、現場で起きている異変をいち早く察知するための、最も重要な経営インフラなのです。
結論:ホットライン導入は「Good Practice」から「MUST」へ
社内不正は、企業の規模や文化に関係なく起こります。現在、アメリカを中心に、プライベートカンパニーであってもホットラインの導入は「義務」を超えた「当然のたしなみ(Good Practice)」となっています。
今回ご紹介したデータは、あくまで「金銭的・資産的不正」に絞ったものです。ここにハラスメントや差別といった「人事リスク」への対応を含めれば、その重要性はさらに高まります。
「やりたくない」あるいは「放置で良い」と考えるのは、利益の5%をドブに捨て続けるのと同義です。迅速に不正を発見し、ダメージを最小化する。そして従業員が声を上げられる「Speak Up」の文化を育てる。そのための第一歩が、ホットラインの導入なのです。
内部通報制度(Ethical Hotline)はじめました
アメリカ拠点のガバナンスに不安はありませんか? 内部通報制度の具体的な構築や、遠隔管理におけるリスクヘッジについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。(パンフレット)
この記事に関する質問は、Moses Singer弁護士内藤博久hnaito@mosessinger.comまで、日本語でお気軽にお問い合わせください。なお、本記事は執筆時の情報に基づいており、現在とは異なる場合があることを、予めご了承ください。最新コンテンツやアップデート情報などをいち早くご希望される場合は、ニュースレターへの登録をお願いいたします。





コメント