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「Leveling the playing field」の概念について

更新日:9月30日

2024年5月24日にSTOKセミナー第15回 知っておこう「サステナビリティの最新法案」が開催されました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございます。


企業戦略法務プログラムにご参加の企業の方々には、本セミナーの録画をいつでもご覧頂けるように共有しています。












*パスワードは顧問契約プランに加入されている方に、別途メールでお送りしていますので、ご覧になりたい方はご連絡ください。


近年、企業に求められるサステナビリティとはなにかについて、考えさせられる機会が増えています。今回のセミナーでは、以下のパネリスト3名をお招きして、ニューヨーク州で立案された環境負荷低減目標、取組状況、サプライチェーンの公開等を義務付ける法律(Fashion Act)について、お話をしていただきました。


  • 竹田欣克(Yoshikatsu Takeda)President, MIKI HOUSE Americas, Inc.

  • 村上 潤 (Jun Murakami)President and CEO, Onward U.S.A. LLC / J. Press, Inc

  • ​脇山泰朋(Yasutomo Wakiyama) 弁護士法人東町法律事務所弁護士



脇山先生がセミナーでお話ししていましたが、どこまで企業がサステナビリティを意識し、取り組むかについては、倫理観(Ethics)に関する問題でもあります。それは現状への対策だけでなく、中長期の対策に取り組むことが企業に求められているからです。


サステナビリティに関してハードロー(成文化された企業を取り締まる法律)を制定する動きはまだ始まったばかりです。NY州はファッションのメッカということもあり、ファッション業界では環境や人権において積極的な倫理観が求められるという考えから、今回、Fashion Actの立案がありました。

ただ、これは別の角度から見ると、ファッション業界にはEthicsが欠けているのでこの様な法律が必要である、という認識がニューヨーク州にはあったと言えます。


ビジネスはあくまで自由競争が促進されることが理想であり、法律がそのビジネスの自由に介入したり、障壁となることはできる限り避けたいところです。その上で、尚、ビジネスを規制する法律が求められるのは、それだけのバックグランドというか、目的や理由がある、ということです。たとえば、企業の不祥事を受けて、その抑止力として法律が制定される場合もあれば、サステナビリティのように社会の風潮や流れを受けて法律が時代の先取りをしていく場合もあります。


企業を規制する法律がつくられることに関して、もう1つ意識したいものがあって、それが「leveling the playing field」という概念です。これはスポーツ業界でよく使われる用語なのですが、直訳すると「フィールド(競技場)を平らにする」ですが、比喩的には「特定の参加者が不利または有利にならないように、全員が同じ条件で競争できる状態を作る」という意味となります。


法律的な意味では、「leveling the playng field」という概念は、特定の人や団体・企業が、ある意味、チート行為やEthicsに欠けたビジネスを行うことで、不当な利益を得たり、競争優位にならない様に、法律や規制を通じて均等な機会を提供することを意味します。

フィールド(競技場)が平でない状態(Ethicsに関する考えが企業によって異なる)で行われる競争は、不平等な戦いを招く事があります。


たとえば、サステナビリティにおいて、Ethicsを積極的に守ってビジネスをしている企業が損をする、Ethicsに対しチートする方が競争優位になる、といった状況になると、「leveling the playing field」を保つためには、法律によって基準を設けなければならない、となるわけです。実際、Fashion Actについては、法律がビジネスを規制する事が理想ではない中で、ファッション企業からもFashion Actの様な業界規制が必要であるという声があったことから、leveling the playing fieldの概念が働いたことが見て取れます。


今後、サステナビリティに関しては様々な法律が制定されていく可能性があります。企業としては、法律ができてから対策をするというよりも、法律ができる前からサステナビリティへの対応をする事が望ましいのです。ひとつの理由は、企業のチート行為が横行すると、必要以上に法律が厳しくなる事があるからです。企業1社の行為が、業界全体に対して厳しい法律を強いる、という状況が過去の事例としてもありました。また、もうひとつの理由としては、法律が新しく制定されてから調整をするのは、相当なエネルギーやコストを要するからです。であれば、事前に少しづつ調整していく方がスマートですし、早めの対応・調整が競合相手に対する牽制や競争力になる可能性があります。


企業のEthicsに対する取り組みに関して、私はBeyond lawという概念が重要だと考えていまして、これについては以下の動画で紹介しています。<動画の紹介>。


  • 【10分で解説】企業は誰のためにあるのか?リーガルセンスシリーズ⑥

    https://youtu.be/t8-dueRkVIo

  • 【6分で解説】ボスとリーダーの違い―ソクラテスのフィルターテスト:リーガルセスシリーズ⑦

    https://youtu.be/_r1Hof0DZn0


また、企業がBeyond lawをどこまで意識できるかは、企業のEthical Leaderの存在によって影響されるというお話もしていますので、それについては、こちらの動画もご参考にしてください。


アメリカでは特に、企業のビジネスのやり方・方針によって法律が制定されるという傾向があるというお話も、こちらの動画で簡単にしています。



今後も、STOKではこうした社会の流れを洞察するようなテーマを取り上げていきたと思います。

次回のSTOKは、知っておこう「日本企業が知っておくべき訴訟対策:弁護士・依頼者間の秘匿特権」に関してです。

お申込み・詳細はこちらから。


ぜひ、ご参加をお待ちしています。


Moses Singer弁護士

内藤博久



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